自由法曹団2018年5月集会に行ってきました。

自由法曹団2018年鳥取・米子 5月研究討論集会

~LGBT分科会に参加して~

1 LGBTに関する法的問題

自由法曹団の5月集会が鳥取県の米子で開催され,LGBTの分科会に参加しましたので,報告を致します。

分科会では,LGBTとは何かという総論的な内容,各論として裁判例や各団員の事件報告がありました。LGBTとは何かという総論の点は割愛をしますが,LGBTの人は,行政,企業,家族,友人など様々な社会的な場面において,事実上・法律上の問題に直面し,多くの生きづらさを抱えています。

特にLGBTの人たちは,家庭内でも少数派であるということが他の問題とは異なり家族にさえ差別を受けることがあり,このような原因がLGBTの自殺率の増加につながっているものと思います。LGBTは差別問題のるつぼだと思います。

事件報告では,LGBTであるがゆえに,違法な業務命令をされる,解雇されるといった報告があり,LGBTであるがゆえに様々な人権侵害が発生していることが現実に起こっていることを学ぶことができました。

まだまだLGBTに対する正しい理解が広まっていない社会において,LGBTの人たちが直面する法的問題点は様々であり,弁護士が関わるべき事案は非常に多いと思います。  LGBTに対する差別や偏見が背景にある法的問題点を解決するには,当事者や関係者にLGBTに対する正しい理解をしてもらい,その理解に基づき対応を求める必要があります。

当事者だけでは難しいと思いますので,是非弁護士に相談いただきたいと思います。

2 日本におけるLGBTに対する差別

私は,司法修習を1年間していたときに,司法修習生らが主催をする7月集会というシンポジウムの実行委員となり,LGBTに関する分科会を設けました。 私が7月集会でLGBT問題を取り上げようと考えたのは,自治体単位で同性パートナーシップ制度に関する条例が制定される動きが出てきたのに対し,これについて地方議員から「同性愛は異常」であるなどの差別的発言が地方議会やブログ上で公然となされることが報道されたからです。ネット上でもこのような発言に対して肯定的な意見を述べるものすらあり,LGBTに対する偏見・差別は極めて酷い状況にあると感じたからです。

最近では,自民党の杉田水脈(すぎたみお)衆院議員(比例中国ブロック)が,月刊誌への寄稿で同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない,つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」という発言が問題になりました(2018年7月23日朝日新聞デジタル「同性カップルは『生産性なし』 杉田水脈氏の寄稿に批判」)。

生産性がないから支援をしないという考えは,優生思想につながる非常に危険なものであり,LGBTの問題だけにとどまるものではありません。高齢者,障がい者,経済的弱者,国籍,人種など社会的に弱い立場に置かれている人々に共通する問題です。

私たちは,いずれ高齢者になることは避けられませんし,いつ事故や病気により障がいを持つことになるか,今の仕事が突然なくなるか分からないのです。

生産性がないから支援をしないという考えは,自分たちが同じ弱い立場になったときに,自分たちも社会から切り捨てられることになってしまうのです。

3 LGBTに対する活動について

私は,LGBTの分科会を開催して学んだことを通じて,LGBTが原因で法的問題に悩んでいらっしゃる方の力になりたいと考えています。そのために,LGBTの問題に対する理解をはじめ,LGBTに関する法的問題の研鑽に努めたいと思います。

以 上