不動産賃貸借

▶︎ 契約時の注意  ▶︎ 更新手続きについて


1.何十年も前から契約書なしで土地や建物を借りているが、心配はない?

口約束だけで、契約書がなくても、借地・借家契約は成立します。しかし、口約束だけでは、後日、借地・借家契約の成立や内容について紛争が生じた場合、契約書は重要な証拠になりますので、紛争を予防するためにも契約書を作成しておく方が良いと思います。ただ、もし契約書がなく、紛争になった場合であっても、契約書以外の賃料の領収書などにより、借地・借家契約の成立・内容について証明することは可能な場合もあります。

 


2.賃料を支払ってくれない場合、どうすれば?

まず、1~2か月程度の賃料不払いの場合、賃借人・連帯保証人に内容証明書を送付することになります。それでも、払ってくれない場合は、賃料の請求、賃貸借契約の解除・立ち退き請求をするということになります。

 


 

3.貸主から内容証明郵便が届いた場合、どうすれば?

(滞納賃料請求のとき)
賃料滞納に対する支払い催促の場合、借主が督促を受けながら支払いをしないと賃貸借契約を解除されてしまい、立ち退きということになりかねませんので、督促期間内に滞納賃料全額を支払わなければなりません。

(地代・家賃の値上げ請求のとき)
地代、家賃を値上げする内容の通知であった場合、これに回答しなくても、それだけで値上げを認めたことにはなりません。ひとまずは、契約で決まっている賃料を払うか、自分が相当と考える値上げをした額の賃料を支払えばよいと考えられます。

 


4.立ち退き問題で貸主から訴訟を提起された場合、どうすれば?

裁判所から呼び出された日に裁判所に出頭しないと、相手の言い分を認めたものとして、敗訴の欠席判決をされてしまうことになりますので、まずは、裁判所からの呼び出し状、訴状、関係資料をお持ちの上、弁護士にご相談ください。

 


 

5.立ち退き料は、どんな場合でも要求される?

立ち退き料とは、賃貸借契約の存続期間が終了し、地主・家主が、借地人・借家人に明け渡しを求める際、明け渡しを円満にするために地主・家主から借地人・借家人に支払う金銭のことを言います。

借地借家法の適用のある借地借家契約の場合、賃貸期間が満了しても地主・家主が借地人・借家人に対して明け渡しを求めるためには、正当事由が必要とされています。この正当事由があるかないかは、例えば、建物の賃貸借の場合では、家主と借家人双方の建物使用の必要性に関する事情などを考慮して判断されるのですが、家主が立ち退き料を支払えば、正当事由が認められやすくなります。

賃貸借契約・契約時の注意


1.不動産賃貸借契約において注意すべきことには?

基本的な手続きとして、重要事項の説明を受け、重要事項説明書と契約書の内容をしっかり確認し、分からないことがあれば質問することです。重要事項説明書、契約書等の書類をしっかり受け取ることが大事です。
これらは、トラブルになった際の重要な資料になります。資料や証拠の確保という点では、契約に際して、室内等を十分確認して写真を撮っておくことも大事です。フローリング、壁、クローゼット等に大きな傷などはないか、備付器具は正常に動くかなどを確認することは、修繕費の負担に関するトラブルを未然に防止するために重要です。

 


2.具体的に、契約書のどのようなところを確認すればよい?

敷金の返還については、契約終了による明渡後当然に一定額を差し引く、いわゆる敷き引き契約があるか、あるとして差し引かれる金額はいくらか、原状回復費用の負担はどのような場合にあるのか、このような点を確認されてはいかがでしょうか。
解約の申し出はいつまでにしないといけないのか、解約するにはどのような方法によればよいのかといった点も挙げられます。
更新についても、更新の方法や更新料も確認する必要があるでしょう。更新に関しては、更新のない定期借家権かどうかは重要です。
定期借家権の場合は、期間が満了すれば賃貸借契約は確定的に終了し、明け渡さなければなりません。ただ、定期借家権の場合には、契約の前に、借りようとする人に対して、更新がなく期間の満了によって終了することを書面で交付しなければ、定期借家権として効力が生じません。重要事項説明書に定期借家権であることが記載されていることが多いです。このような手続きによって、賃借人が不測の不利益を受けることを防止しようとしています。ただ、十分な説明もなく書面だけを交付されるようなおそれも考えられるので、定期借家かどうか注意するに越したことはないです。

賃貸借・更新手続きについて


1.更新時期が過ぎたのに、更新契約書面が作成されていない。どうなる?

(普通借家権の場合)
更新契約書面がきていなくても、当然に契約が終了して、建物を出なければならないということはありません。期間の定めがある建物の賃貸借契約の場合、当事者の一方が期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新しない旨の通知等をしなかった場合には、従前と同じ内容で契約を更新したものとみなされます。そこで、更新契約書面が作成しなくても、同一の条件で、契約が更新されていることになります。ただし、その場合には、契約期間については定めがない契約になります。なお、実際は、賃貸借契約の際、更新について自動更新(すべての内容が従前と同一内容の更新)の条項が定められている場合が多くその定めに従うことになります。


2.契約期間の定めのない賃貸借契約の場合、どのように契約を終了する? 

当事者から他方に対して、いつでも解約の申し入れをすることが出来ます。賃貸人が解約の申し入れをした場合には6カ月、賃借人が解約の申し入れをした場合には3カ月が経過すると賃貸借契約が終了します。ただし、賃貸人が解約の申し入れをする場合には、自分で建物を利用したいなど正当な事由があることが必要です。

 


3.契約更新書面が送られてきた。どうすれば?

契約を更新するかどうか、また、どういった内容の契約で更新するのかは、基本的には当事者の合意ということになりますので、内容をよく確認してください。契約更新書面をきちんとチェックしないままに署名をしてしまうと、基本的には、その内容で合意が成立したということになりますので、内容を確認することが大切です。家賃の値上がり等、契約更新書面の内容に納得がいかない場合には、署名する必要はありません。

 


4.賃貸人が突然、家賃の値上げをすると言ってきた。納得できない。

値上げを拒否した場合、のちに賃貸人が裁判所に調停の申立をする可能性があります。この調停の場で家賃の値上げについて協議することになります。