ピースメッセージ2014

8月6日広島9日長崎に原爆が投下されてから69年。滋賀第一法律事務所の弁護士玉木昌美、近藤公人、永芳 明、樋口真也、事務局は、唯一の被爆国として核兵器廃絶の取り組みや平和を守る活動に参加しています。各弁護士のメッセージをご紹介します。

 

戦後69年が経過しました。これまで、憲法9条のおかげで、日本が直接の戦争の当事者になったことはありません。今年は、なんと、憲法に従うべき政府が、この憲法9条を「改正」せずして、日本が戦争することができるんだと,「解釈の変更」を行いました。
日本に平和をもたらした、この憲法9条を破壊する「解釈の変更」はクーデーターと言うべきで、全く許すことはできません。
来年は「戦後70年」、このまま「戦後」の年数のカウントが進んでいくよう、願わずにはいられません。

弁護士 永芳 明

集団的自衛権が閣議決定により認められました。これは、自衛隊が海外で武力行使が出来ることを意味します。しかし9条2項では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めています。もし自衛隊員が、捕虜となった場合、どのように扱われるのか。
自衛隊は軍隊ではないと言われています(そう思いませんが)。国際法上、自衛隊員は兵隊ではないので、自衛隊員が捕まったとき捕虜扱いにならないのでは?などなど国際法上の問題が出てきます。
今までは、自衛隊が武力を行使できるのは、日本が武力攻撃を受けた時だけでしたから、このような問題は想定しなかったと思いますが、今後はこのような問題が起こりえます。

弁護士 近藤公人

 

国民は憲法を作った主体であり、名宛人は政府である。平和や人権を守るために政府に命令をし、守らせることにしている(立憲主義)。いかなる政権も憲法に従わなければならない。安倍政権のように勝手に解釈で憲法を変更し、集団的自衛権を容認すると言っても、無効である(憲法の最高法規性)。「憲法が変わるとどうなるかピンとこない。」という人がいるが、戦争に駆り出され、あらゆる人権が否定された戦前を思い起こすといい。平和も人権も日本国憲法が前提になっているのだ。集団的自衛権を認めることは「戦争をする国」変えることだが、戦後一人も殺し殺されることがなかった奇跡の国日本をやめていいだろうか。

弁護士 玉木昌美

 

人種や信条、性別など個人の人格に関わる価値は全ての人間において平等です。
人格価値において優劣はありません。また、自分が正しいと思うことが他人にとっても正しいとは限りません。そんなの当たり前です。ですが、昨今は自分だけが正しいかのような言動や他人の属性や生き方に(外国人やマイノリティ)寛容さを失っていると感じる事象が気になります。このような寛容性の欠如は平和の根幹を揺るがしやしないだろうか心配です。

弁護士 樋口真也

憲法メッセージ2014

5月3日は憲法記念日です。5月1日から7日までは憲法週間とされています。滋賀第一法律事務所の弁護士玉木昌美、近藤公人、永芳 明、木下康代、樋口真也、事務局は、日本国憲法の国民主権、平和主義と基本的人権の尊重を大切にする取り組みに参加しています。各弁護士のメッセージをご紹介します。

 

集団的自衛権を認めることは,他国間の戦争に首を突っ込んだり巻き込まれたりすることを意味します。とても危険なことです。国民的な議論が必要な憲法改正の手続きを取らずに,解釈の変更だけでできるはずがありません。戦争放棄は日本国憲法によって,国民と世界に向けた日本の大切な約束です。それを破ることになる集団的自衛権は絶対に認められません。

弁護士  永芳 明

 

普段の生活の中で憲法を実感することはあまりというか全然ないでしょう。それが普通です。でも、本当は当たり前の生活も憲法の存在によって、もたらされているかもしれません。憲法ってなんやろ?から、じっくりゆっくり考えていきましょう!

弁護士  樋口真也

 

改憲派は集団的自衛権行使ができる国にするため、憲法9条を憲法解釈で変えよう(解釈で違憲状態を作る)というのですが、なぜそうするのか明らかではありません。そもそも、集団的自衛権行使は自国の防衛とは関係なく、「海外で武力行使をする国」に変えることです。国家が人殺しを命じることにつながります。「もう二度と戦争をしない、武力で紛争を解決しない」と誓った平和国家をやめることは、日本にとってもアジア、世界の平和にとっても大きなマイナスです。「日米同盟」の名のもとでアメリカが行う国際法に違反する侵略戦争に付き従うことは誰も望まないことです。国民が平和で人権が保障されるためには、政府に日本国憲法を守らせることが必要です。

弁護士 玉木昌美

 

安倍首相は、集団的自衛権の解釈変更の質疑にて「最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私達は選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」と発言しました(2014年2月12日衆議院予算委員会)。
立憲主義は、基本的人権擁護のため、権力者を拘束する原理ですから、時の権力者が、勝手に憲法解釈を変えることができるのであれば、立憲主義の意味がありません。国民の多数の支持があっても政治家が従わなければならないのが憲法です。選挙で審判を受ければ何をやってもよいという考え方は、法の支配に反します。安倍首相の発言は、歴代の自民党幹部からも批判されています。立憲主義を守れ、という声を上げましょう。

弁護士 近藤公人

ピースメッセージ2013

8月6日広島9日長崎に原爆が投下されてから68年。滋賀第一法律事務所の弁護士玉木昌美、近藤公人、永芳 明、樋口真也、事務局は、唯一の被爆国として核兵器廃絶の取り組みに参加しています。各弁護士のメッセージをご紹介します。

戦後68年が経過しました。これまで、憲法9条のおかげで、日本が直接の戦争の当事者になったことはありません。昨今、この憲法9条を「改正」して、日本が戦争することができるようにしようという動きがあります。

しかし、日本に平和をもたらした、この憲法9条を「改正」する必要はありません。今回の参議院選挙で、「改憲」を主張する人たちが議席を伸ばしました。今後、憲法9条の改正に向けた議論が進むかもしれません。

でも、今後「戦時」を迎えることなく、平和な「戦後」が続くよう、願わずにはいられません。

弁護士 永芳 明

 

私は、昨年、戦争のことを忘れてはいけないとホームページで書きました。しかし、今や、日本人のうち戦後生まれは、億人を超えています。私は、父方母方、双方の祖父母から戦争体験を聞く機会が多くありましたが、身近に戦争体験者がいない若い世代も多いと思います。そういう世代にとって、平和を心底、実感する時とはどんな時なのでしょうか。私などは、休みの日に、鴨川を散歩したり、植物園にいると、「あー平和やなー」と感じます。そこには、戦争も、憲法もありません。平和と戦争は実感として結びつかないのです。それでも、私は、祖父母からの戦争体験をよく聞いていたからか、少なくとも、8月6日、9日、15日や、祖父の墓参り等の時には、戦争のことを話していた祖父の姿を思い出します。また、私は、法律家なので、平和と憲法のことも考えたりします。

では、法律家でもないし、身近に戦争体験者がいない若い世代は、どのようにして平和を戦争と結びつけて実感し、平和のことを真剣に考えればよいのでしょうか。戦争や憲法とすぐには結び付かなくても、ささやかな平和を大事にする気持ちがあれば、いいのではないかとも思ったりもしますが、皆さんはどのように考えますか。

弁護士 樋口真也

 

自衛隊と憲法と乖離があるので、憲法を変え軍隊を持とうという動きがある。

自衛隊は、法解釈的に違憲なのか。法解釈では、以下の通り専守防衛であれば合憲とされている(私は違憲説であるが)。国である以上、自衛権を有する。しかし、憲法9条2項で、「戦力」を放棄したので、軍隊を持てないが、「戦力」に至らない自衛権を行使できる。よって、自衛隊は、「戦力」に至らない自衛権の行使にとどまるので合憲である。これが内閣法制局の一貫した考え方である。

そして、自衛隊の海外派遣法は、この解釈の枠内で行われている。しかし、集団的自衛権の行使は、9条2項に抵触し認められない。政府見解によれば、決して、憲法と自衛隊は、乖離していないのである。

弁護士 近藤公人

 

「世界九条会議・関西2013」の成功へ
この7月の参議院選挙の結果、自民党が圧勝し、改憲勢力は3分の2に達しなかったものの、大きく過半数を超えました。衆参のねじれ現象は解消し、自信を得た安倍内閣は9条、そして、その露払いとしての96条改憲に向けて邁進するでしょう。選挙のときには世論を考慮して改憲を全面に打ち出すことはしませんでしたが、今後集団的自衛権行使を認め、「戦争をする国」に変えようと明文改憲・解釈改憲を進めることは確実です。
そうした中、日本国憲法の意義、その平和主義、平和的生存権の重要な価値を再確認し、国際社会において、平和への権利を人権として認める運動をさらに強化する必要があります。
今年10月13日午前10時から大阪市中央体育館で、「世界九条会議・関西」という1万2000人の集会が予定されています。国際的にも著名な方がゲストとして参加されます。
滋賀における憲法運動をさらに拡大強化し、改憲勢力の野望を打ち砕くべく、この大集会にみんなで参加し、成功させましょう。きっと、憲法9条が日本にとっても世界にとってもますます光り輝くものとなることを確信できると思います。

弁護士 玉木昌美

 

憲法メッセージ2013

5月3日は憲法記念日です。5月1日から7日までは憲法週間とされています。滋賀第一法律事務所の弁護士玉木昌美、近藤公人、永芳 明、樋口真也、事務局は、日本国憲法の国民主権、平和主義、平和主義と基本的人権の尊重を大切にする取り組みに参加しています。各弁護士のメッセージをご紹介します。

 

憲法は、国民の権利を守る大切なもの。
憲法を遵守するのは国民ではなくて国家権力です。
また、このような大切な憲法は,簡単に変えられない
ことに意味があります。
今こそ,憲法とは何なのか,という本質に立ち返って
憲法に関する様々な問題を考えていきましょう。

弁護士  永芳 明

 

「憲法は何のためにあるのか。」から、憲法改正問題についても考えていく必要があると思います。
冷静かつ十分な議論のないまま、憲法が改正されてしまわないように、憲法を学んだ法律家の立場から、できることをしたいと思います。

弁護士  樋口真也

 

「戦争で得たものは憲法だけだ(作家城山三郎)。」310万人の日本人と2000万人のアジア人の犠牲のうえに獲得した平和憲法。9条を変えるために憲法96条の要件を変える策動を許すわけにはいきません。アメリカに追随し、海外において侵略戦争に加担して人殺しができる国になることは、日本の国民にとっても、世界の平和にとってもとんでもないことです。「国防軍」は自衛隊が単に名称を変えることではありません。憲法9条2項をやめることは、国家が国民に人殺しを命じる根拠を与えるものです。軍隊や武力で平和を守ることはできません。領土問題で勇ましい発言をする政治屋に惑わされてはなりません。平和憲法の大切さを一人でも多くの国民に広めていきましょう。

弁護士 玉木昌美

 

生存権が危ない。
自民党の憲法改正草案では、生存権の条文には、手を加えていませんので、今までどおり、生存権がそのまま保障されたと思ってはいけません。
自民党の憲法改正草案では、「家族は、互いに助け合わなければならない」という項を提案しています。憲法は、国家権力を制限することに本質がありますので、家族について規定すること自体おかしなことです。
そして、家族の自助を求めることは、まず生活保護の申請の前に、家族が援助すると自分の生活が大変であっても、家族に援助を求め、家族が援助すると自らも生活保護と同等となるときに、初めて生活保護を受けさせることになるでしょう。従って、実質的に、生活保護の切り下げをしているのと同じです。

弁護士 近藤公人

ピースメッセージ2012

8月6日広島9日長崎に原爆が投下されてから 67年。滋賀第一法律事務所の弁護士玉木昌美、近藤公人、永芳 明、樋口真也、事務局は、唯一の被爆国として核兵器廃絶の取り組みに参加しています。各弁護士のメッセージをご紹介します。

 

私は、戦争を知りません。でも、祖父母は戦争体験者なので、幼い頃からよく戦争の頃の話を聞いていました。祖母からは、大阪大空襲で、家が焼け命からがら逃げ惑ったこと、近くに1トン爆弾が落ち、人や馬が吹き飛ばされ電柱や電線に引っかかって命を落としていた悲惨な様子などその当時の様子を鮮明に語ってくれました。また私が一番尊敬している亡き祖父は、寡黙で戦争についても多くを語ることはなかったのですが、晩年、戦時満州に滞在していたこと、その後約4年間にわたりシベリアに抑留されていた頃の生活、帰還後の苦労などを詳しく話してくれました。今後近いうちに戦争体験者はこの日本からいなくなります。あの戦争は自分たちには関係のない遠い過去のもの、そんな風になっては絶対にいけないと思います。今の私たちがあるのは、あの戦争時代を苦しみながらも生き抜いてくれた方々のおかげだからです。少なくとも、長崎、広島の原爆、終戦に至ったこの8月には、あの戦争によって命を奪われたすべての方の無念に思いを馳せ、絶対戦争はしてはいけないとの思いを強く再認識したいと思っています。誰もが平和を願い、平和の大事さを胸を張って言える日本であってほしいと切望します。

弁護士 樋口真也

 

今年で,終戦から67年が経つそうです。私は今年42歳,「戦後」の約3分の2を生きてきました。その間,元号が「昭和」から「平成」に変わり,日本人の大半にとって,戦争がどんどん過去の出来事になってきています。
しかし,危険な兵器,オスプレイが日本に配備されたり,普天間基地の移設問題が解決されなかったり,被爆国である我が国で原発から放射能漏れが起こったり,国内でも,戦争に関連する問題が絶えず起こり続けています。海外では,イラクはアメリカ軍が撤退しても安定せず,シリアでは内戦が起こり,絶えずどこかで戦争が続き,犠牲者が出続けています。
国内,国外の色んなことを考えるときに,戦争のことを忘れないようにしたいと思います。

弁護士 永芳 明

 

戦争は、命を奪うのは当然であるが、戦争で命を奪われなくても、その人の人生を奪う。戦争は個人の尊厳と相容れない。平和しかない。

 刑法の視点で、戦争を見よう

 戦争は、相手国の戦闘員や国民を殺す行為、すなわち、国家による殺人行為である。なぜ、国家であれば、殺人罪が免責されるのか、わからない。

 ミサイルで建物を壊せば、建造物損壊罪に該当する。

 日本政府は、武器や戦闘員の輸送(兵站)は戦争行為ではないという。しかし、犯罪行為をする人を犯行場所に運ぶ行為は、少なくとも、「幇助犯」として、処罰される。通常は、正犯として処罰される。兵站行為は、違法である。

弁護士 近藤公人

 

日本国憲法9条2項は、「戦力は持たない、戦争はしない。」としています。この規定が「日本を戦争ができない」と権力を縛っています。これは画期的なことです。「自衛隊は実質軍隊ではないか、他国が国際紛争に武力で介入するとき、日本ができないのはおかしい。」などと改憲勢力は言います。しかし、自衛隊は軍隊とされていないから、他国の人を殺すことも、他国の人に殺されることもないのです。そうした状態が60年続きました。日本のこどもたちは徴兵制もなく、幸いにして「戦争を知らない。」のです。「軍隊は国民を守らない、武力で紛争を解決することはできない。」これは歴史の教訓です。原発だらけの日本を攻めるのに核兵器は要りません。他国が日本を攻撃しようとするなら、原発に通常爆弾を落とせば足りるのです。しかし、抽象的に「攻められたら。」と軍隊で武装することを考える必要はありません。日本が武装すれば、戦争中毒のアメリカの侵略戦争の片棒を担ぐだけなのです。ベトナム戦争、イラク戦争等を見れば明らかです。それでも憲法9条2項を変えたいですか。まともな国民は必ずノーというはずです。

弁護士 玉木昌美