出張授業を通じて考えたこと

 先日、滋賀県守山市内の中学3年生の生徒さんを対象に、労働に関する出張授業をしてきました。

 契約であるとか、労働契約、労働条件という聞き慣れない話に対して、皆さん熱心に講義を受講されていました。

 ある生徒さんからの質問で、「労働者を守る法律がたくさんあるのに、残業代の問題とかなくならないのはなぜか。」というものがありました。とても鋭い質問です。法律が機能していれば、労働問題は生じないはずです。なぜ機能していないかと言えば、使用者>労働者という構図になっている会社が多く、労働者を守る法律が軽視されているからです。

 アダム・スミスは『国富論』において、重商主義の発想を否定しています。冨の根源は労働にありとする「重人主義」を国富論の拠って立つ基盤としています。商品の価値、その生産の投下された人間の労働の質と量によって決まります。現代において再考される考え方ではないでしょうか。

弁護士 和合佐登恵