えん罪日野町事件報告 遺族による再審請求の現状

弁護士  玉木昌美

日野町事件は、犯人でない阪原弘氏が3年以上も経過したのちに逮捕され、代用監獄において、被疑者弁護等の弁護人の十分な援助がえられないまま自白を強要された典型的なえん罪事件です。彼を有罪と認定できる証拠はありません。動機もなく、被害品も解明されておらず、秘密の暴露は何もありません。被害金庫は店頭にはなく、それを見て犯行を思い立つはずもありません。さらに、本人の再審請求審では、鑑定の結果、自白の方法では殺せないことも明確になりました。自白は客観的事実に反して信用性はなく、情況証拠によって犯人性を認定することもできません。

本人の再審請求は棄却されましたが、論点を細分化し、各論点については、「確かに」と弁護人の主張を認めながら、「記憶違い」「そうでないかもしれない」「重要性はない」などとこじつけ、有罪を維持しました。20数点の論点に渡って疑問を提示しながら、結論は「疑わしきは被告人の利益に」の原則を無視して有罪判決を維持しました。「自白した以上犯人に違いない。」という虚偽自白にとらわれた棄却決定でした。

平成24年3月30日、大津地裁に阪原さんの遺族らが大津地裁に再審請求をして4年が経過しました。

現在、弁護団は、裁判官、検察官と協議を重ね、それは2016年3月で28回に及んでいますが、その間、証拠開示を請求し、議論を重ねながら、開示証拠を増加させ、今日までで100点以上が証拠開示されました。

証拠開示によって、引き当て捜査のネガの開示があり、金庫引き当てについて、金庫投棄現場から戻るときの写真が多用されていました。阪原さんが任意に案内し、その都度写真を撮って正解にたどり着いた、いうストーリーが破綻しました。また、昭和60年9月13日に逮捕状が発布されていたにもかかわらず、執行されないままであったことも初めて明らかになりました。

本件は、犯行現場も被害者の店舗であったのかどうかも不明のままです。店舗内で殺害が行われたとすれば、同居していた高齢のおばさんの存在が問題になります。最近の開示された証拠や弁護人の提出した新証拠によれば、阪原さんによる店内で殺害したという自白の時期に、実は被害者は共同浴場に行っていて生存していた可能性が高いことが判明しました。

 現在、弁護団は、犯行再現等のネガの分析、アリバイ問題のさらなる解明に向けて引き続き開示を請求し、再審開始をめざして奮闘しています。

 犯人性 亡阪原弘さんは事件とは何ら関わりがないと無実を主張。

 捜査官が犯人であると思い込み、無実の阪原弘さんを長時間の取調べで自白を強要し、起訴した典型的な冤罪事件。再審無罪の布川事件等と同じ構造。

(国民救援会、日本弁護士連合会が冤罪事件と認定し、支援決定した事件)

 
    全国の主な再審事件

2012年3月30日大津地裁へ
日野町事件遺族による再審請求
日野町事件遺族による再審請求をする弁護士玉木昌美ら弁護団
大津地方裁判所前
  • 袴田事件 (静岡)
  • 福井女子中学生殺人事件(福井)        
  • 名張毒ぶどう酒事件(三重)
  • 日野町事件(滋賀
  • 大崎事件(鹿児島)
  • 筋弛緩剤えん罪事件(宮城)
  • 東住吉冤罪事件(大阪)
  • 東電OL殺人事件(東京)
  • 山陽本線痴漢冤罪事件 (岡山)         
  • 特急あずさ35号窃盗再審事件(長野)
  • えん罪姫路強制わいせつ事件(岡山)
  • 大阪地裁所長オヤジ狩り事件(大阪)
  • 西宮郵便バイク事件(兵庫)
  • 痴漢えん罪西武池袋線小林事件(東京)
「再審・えん罪事件全国連絡会ホームページ」より

2012年3月30日大津地裁へ
日野町事件遺族による再審請求
日野町事件遺族による再審請求をする弁護士玉木昌美ら弁護団の記者会見の様子
於 滋賀弁護士会
阪原弘さんは裁判では一貫して「私は殺していません」と無実を訴えました。
  • 1995年6月30日大津地裁判決    無期懲役
  • 1997年大阪高裁判決 控訴棄却
  • 2000年9月27日最高裁 上告棄却  無期懲役確定 広島刑務所で服役
  • 2001年11月14日 日弁連の支援を受け大津地裁へ再審請求
  • 2006年3月27日再審請求棄却
  • 大阪高裁へ即時抗告
  • 2011年3月 獄中から再審を求めて必死に阪原弘さんは闘っていましたが、死去
 弁護士玉木昌美は昭和63年4月一審段階から事件を担当。
 日野町事件の争点とは
昭和63月に起訴されてから現在まで弁護人を続けて闘っている(一審からの弁護人は私だけ)。遺族の一人からは、懇親会で「先生が頑張ってくれる以上私も頑張る。」と言ってもらった。冤罪事件を闘うことは、当事者にも支援者にも弁護団にも大変な困難が伴うが、支援の闘いの中に「絆」が生まれ、人間的な交流の感動がある。救援運動はヒューマニズムあふれる活動である。亡阪原弘さんは、身内でもないのに支援してくれる救援会の人たちに心から感謝していた。私は「ご指名」で接見にくるように呼ばれることもあった。病魔で倒れる直前の時期に広島刑務所で面会し、看護部長に病院に移すべきであると交渉したことを思い出す。生きて取り戻せなかったのが悔やまれるが、遺族の闘いで、再審無罪を勝ち取りたい。
2016年の日野町事件弁護団活動
    弁護士 玉木昌美 
滋賀 弁護士【滋賀第一法律事務所】のホームへ 画像
 
戻る
弁護士玉木昌美の  紹介ページへ
滋賀第一法律事務所 受付時間:平日9時~18時  画像
Web予約はこちら
Copyright©2008- Shigadaiichi Low Office. All Rights Reserved.          
                    滋賀第一法律事務所  
       滋賀の弁護士相談は滋賀第一法律事務所へ  借金・相続・離婚・不動産・交通事故 
       〒520-0044 滋賀県大津市京町3丁目4番12号アーバン21 5階 電話077-522-2118
        業務時間 平日9時~18時 休みは土日祝日
       滋賀弁護士会所属 弁護士玉木昌美 近藤公人 永芳 明 和合佐登恵 樋口真也         1969年設立
   

2012年3月30日大津地裁へ
日野町事件遺族による再審請求
日野町事件遺族による再審請求について支援者たちに説明する
弁護士玉木昌美 於 滋賀弁護士会
 これまでの裁判の経過
1984年12月28日滋賀県日野町酒店女主人が被害者の強盗殺人事件。3年以上経過して阪原弘さんが犯人とされました。
日野町事件とは 
日野町事件弁護人として

1月14日 第27回三者打ち合わせ期日弁護団 会議(大津)

1月20日 弁護団会議(大阪)

1月30日 日野町現地

2月 1日 弁護団アリバイチーム会議(京都)

2月18日 弁護団アリバイチーム会議(京都)

2月22日 弁護団会議(大阪)

2月27日 日野町現地

3月 3日 第28回打ち合わせ期日 弁護団会議(大津)

3月 9日 弁護団アリバイチーム会議(京都)

3月27日 日野町現地

3月28日 弁護団会議(大阪)

 滋賀第一法律事務所HOME>弁護士紹介弁護士玉木昌美>再審の扉
 再審とは
 再審の扉     弁護士玉木昌美(たまきまさみ)のえん罪日野町事件の活動ををご紹介します
 

再審とは、確定した有罪判決を覆し、無実の人を救済するための制度です。その請求には、新証拠の提出が必要となります。再審事件においても、「疑わしきは被告人の利益に」の大原則が適用になり、新・旧証拠を総合評価して判断する、とされています(最高裁判例)。捜査段階でウソの自白を強要され、間違って犯人にされた冤罪事件の犠牲者は再審で救済されなければなりません。