日弁連法廷弁護技術研修を修了しました。

2018年8月8日~10日,東京・霞が関にある日本弁護士連合会の弁護士会館で開催された刑事法廷弁護技術研修に参加しました。

本研修は,市民の方が職業裁判官と一緒になって裁判員として参加する裁判員裁判を念頭にしたものです。刑事裁判の手続きや審理の内容は,専門用語が飛び交い,法律の専門家ではない市民の方々には何をやっているのか全く分からない状況でした。

そこで,市民の方が裁判員に参加して,見て,聞いて,分かる裁判を目指して実施されているのが本研修です。

本研修では,冒頭陳述,主尋問,反対尋問,最終弁論という弁護人が刑事裁判の中で行う各手続きについて,どのようにすれば市民の方にも分かりやすいようにできるか,模擬裁判記録を利用して実演をして,直後に刑事弁護のトップランナーである講師陣から講評をもらうという,極めて実践的なものです。

本研修では,弁護人としての立ち振る舞い,話し方,話すスピード,目線,発言の一言に至るまでチェックをされ厳しい指摘を受けます。

三日間を通じて実演を行い,できていない点について指摘を受けるのはとても辛いものではありますが,自分では気づくことができない点を多く気づくことができました。

刑事事件では,ご家族の方に情状証人として出廷いただいたり,被告人質問といってご本人に質問をする手続きがあります。本研修で学んだ尋問技術はまさにこのような場面で役立てることができます。

また,本研修で学ぶことできた尋問技術は,刑事事件だけでなく,一般の民事事件にも役立てることができ,依頼者の皆様の利益に貢献できるものと思います。

自由法曹団2018年5月集会に行ってきました。

自由法曹団2018年鳥取・米子 5月研究討論集会

~LGBT分科会に参加して~

1 LGBTに関する法的問題

自由法曹団の5月集会が鳥取県の米子で開催され,LGBTの分科会に参加しましたので,報告を致します。

分科会では,LGBTとは何かという総論的な内容,各論として裁判例や各団員の事件報告がありました。LGBTとは何かという総論の点は割愛をしますが,LGBTの人は,行政,企業,家族,友人など様々な社会的な場面において,事実上・法律上の問題に直面し,多くの生きづらさを抱えています。

特にLGBTの人たちは,家庭内でも少数派であるということが他の問題とは異なり家族にさえ差別を受けることがあり,このような原因がLGBTの自殺率の増加につながっているものと思います。LGBTは差別問題のるつぼだと思います。

事件報告では,LGBTであるがゆえに,違法な業務命令をされる,解雇されるといった報告があり,LGBTであるがゆえに様々な人権侵害が発生していることが現実に起こっていることを学ぶことができました。

まだまだLGBTに対する正しい理解が広まっていない社会において,LGBTの人たちが直面する法的問題点は様々であり,弁護士が関わるべき事案は非常に多いと思います。  LGBTに対する差別や偏見が背景にある法的問題点を解決するには,当事者や関係者にLGBTに対する正しい理解をしてもらい,その理解に基づき対応を求める必要があります。

当事者だけでは難しいと思いますので,是非弁護士に相談いただきたいと思います。

2 日本におけるLGBTに対する差別

私は,司法修習を1年間していたときに,司法修習生らが主催をする7月集会というシンポジウムの実行委員となり,LGBTに関する分科会を設けました。 私が7月集会でLGBT問題を取り上げようと考えたのは,自治体単位で同性パートナーシップ制度に関する条例が制定される動きが出てきたのに対し,これについて地方議員から「同性愛は異常」であるなどの差別的発言が地方議会やブログ上で公然となされることが報道されたからです。ネット上でもこのような発言に対して肯定的な意見を述べるものすらあり,LGBTに対する偏見・差別は極めて酷い状況にあると感じたからです。

最近では,自民党の杉田水脈(すぎたみお)衆院議員(比例中国ブロック)が,月刊誌への寄稿で同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない,つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」という発言が問題になりました(2018年7月23日朝日新聞デジタル「同性カップルは『生産性なし』 杉田水脈氏の寄稿に批判」)。

生産性がないから支援をしないという考えは,優生思想につながる非常に危険なものであり,LGBTの問題だけにとどまるものではありません。高齢者,障がい者,経済的弱者,国籍,人種など社会的に弱い立場に置かれている人々に共通する問題です。

私たちは,いずれ高齢者になることは避けられませんし,いつ事故や病気により障がいを持つことになるか,今の仕事が突然なくなるか分からないのです。

生産性がないから支援をしないという考えは,自分たちが同じ弱い立場になったときに,自分たちも社会から切り捨てられることになってしまうのです。

3 LGBTに対する活動について

私は,LGBTの分科会を開催して学んだことを通じて,LGBTが原因で法的問題に悩んでいらっしゃる方の力になりたいと考えています。そのために,LGBTの問題に対する理解をはじめ,LGBTに関する法的問題の研鑽に努めたいと思います。

以 上

滋賀日野町事件、再審開始決定勝ちとる

2018(平成30)年7月11日、大津地方裁判所(裁判長今井輝幸)は、故阪原弘氏の遺族らが請求した日野町事件について再審開始決定をした。

日野町事件は、1984(昭和59)年12月、滋賀県蒲生郡日野町で発生した。故阪原弘氏は、強盗殺人事件の犯人であるとして起訴され、事件との関わりがないと無罪を主張したものの、大津地方裁判所で無期懲役に処せられ、控訴や上告が棄却された。故阪原弘氏は、2001(平成13)年11月、再審請求を申し立てたが、2006(平成18)年3月、大津地方裁判所において棄却された。大阪高等裁判所において即時抗告審が係属していたが、その途中で故阪原弘氏は病気により死亡した。今回の再審請求は2012(平成24)年3月、故阪原弘氏に代わり、その雪冤のためにその妻と3人の子らが申し立てていた事件である。

日野町事件は、故阪原弘氏が捜査段階で捜査官に対して自白をし、調書が作成されたということ以外に犯人性を裏づける証拠がない事件である。犯行の動機もなく、秘密の暴露は何もない。また、被害金庫は店頭に置かれていたこともなく、犯行を思いたつことはありえない事件であった。また、中腰になって両手で被害者の首を絞めたとする自白による殺害方法では首が固定せず殺害できないことが一審の段階から問題になっていた。

再審開始決定は、「阪原の自白に、事実認定の基礎とし得るほどの信用性を認めることはできない」とし、警察官からの暴行や脅迫により、自白した合理的な疑いがあるとし、自白の任意性も認められない、とした。さらに、「新旧全証拠によって認められる間接事実から、阪原が犯人であると推認することはできないし、各間接事実中に阪原が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて困難である)事実関係は含まれていない。」(最高裁平成22年4月27日第三小法廷判決)と判断した。

殺害方法については、吉田謙一医師の鑑定書等を始めとする新証拠を理由に、殺害態様を認定し、「阪原の自白のうち、左手を頚部の後面に当てていたとする点は、死体の損傷状況と整合しない。」とし、「阪原の左手の位置及びそれに伴う阪原の体勢は、本件殺害態様の重要部分であり、当時無我夢中であったという点や、時の経過による記憶の欠落では説明がつかない。」と判断した、第1次再審請求の棄却決定が展開した記憶違い論を明確に否定したものである。

引当捜査についても、「復路に写真撮影がされ、これが往路で撮影した写真として引当調書が作成されたことを示すネガの分析報告書、金庫関係の引当捜査担当警察官の当審における証言等の新証拠を踏まえると、警察官により、引当捜査当時に直截的な誘導はなされなかったものの、阪原が正解である金庫発見場所にたどり着けることを強く期待していた警察官が、鉄塔等があることを示唆する意図的な断片情報の提供を行い、また、警察官と、自白を維持し警察と協調する阪原との間で、正解到達に向かう無意識的な相互作用を生じさせた結果、金庫発見場所を案内できた可能性が、合理的にみてあると認められる。」とし、「阪原が誰からも教えられずに金庫発見場所について正しい知識を有していたとする一審判決等の判断は大きく動揺した」とした。

再審開始決定は、阪原氏の知的能力の低さに伴う行動特性を配慮した適正な判断をした。また、自白の信用性だけでなく、任意性にも合理的な疑いがあると踏み込み、阪原氏のアリバイ主張についても虚偽ではない疑いが生じた、とした。これらの点において画期的である。

今回の再審開始決定は、再審において新旧証拠を総合評価し、「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の鉄則を適用して判断したものであって正当なものである。

この事件は、上記引当捜査やアリバイつぶし等の違法な捜査手法、被疑者弁護を受けることのできなかった点(当時、当番弁護士制度も被疑者国選制度もなかった)で問題が多く、証拠開示ではそれなりの成果をあげたものの、あまりに時間がかかりすぎた(遺族が再審請求をしてから7年目に入っている)。

酒とカラオケが好きな人のいい故阪原弘氏を生きて救えなかったのは本当に残念である。本件は典型的なえん罪事件であり、再審公判により、すみやかに故阪原弘氏の名誉を回復する必要がある。本事件は、起訴されて30年余り経過した。検察官は不当にも即時抗告をした。日本国民救援会や日弁連の支援決定を得て闘ってきた事件であるが、再審無罪を勝ち取るまでさらなる支援をお願いしたい。

弁護士 玉木 昌美

融資をえさにキャッシュカードを騙し取られると犯罪者に?直ちに弁護士に相談を!

弁護士 玉木昌美

 お金に困っていたAさんはメールによる融資の勧誘を受け、キャッシュカードを送れば、その口座に送金する、返済はその口座にすれば送金手数料がかからない、カードは完済後に返還すると言われ、業者にキャッシュカードを送付してしまいました。しかし、融資はなされず、騙されたことに気づいたAさんは口座をストップしましたが、それまでに口座はオレオレ詐欺に使用されていました。カードを騙し取られたことを警察に申告したAさんは、「被害者」ではなく、逆に「被疑者」とされ、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反で罰金刑に処せられました。最高裁まで無罪を主張して争いましたが、通りませんでした。決してキャッシュカードを他人に譲渡してはいけません。
また、Bさんは、友人のカードを借りて送金するためにその口座を利用しましたが、やはり上記の法律違反で逮捕・勾留されました。私は被疑者段階で弁護人となって活動し、検察官と交渉して起訴猶予の処分になりました。すぐに経験のある弁護士に依頼することが大切です。

何歳まで走れるか 人間の可能性

弁護士 玉木昌美

2017年9月17日、台風をものともせず、岡山県井原市のぶどうの里ふれあいマラソン5キロに出場した。ぶどう畑の起伏の激しいコースの大会で5キロでも走りごたえがある。2013年には25分台、2014年では26分台で走っていたが、今年は27分43秒で49位(50歳以上男子 申込者203人中)。加齢による衰えが見える。何年か前のこの大会で70代の方に「お元気ですね。」と話したら、「わしはまだまだ若造や。」と言って、別の方を連れてきた。何とその方は96歳。ゼッケンをつけて選手として同じコースを走るのだ。その方は、「この大会は30数年前に段取りして始めた。」とおしゃっていた。96歳でも走ることができることはすばらしい。マラソンは生涯スポーツとして位置づけられる。その翌年もその方は97歳で走っていた。

井原市には著名な彫刻家平櫛田中の美術館がある。その平櫛の言葉に「六十、七十は鼻たれ小僧。男ざかりは百から百から。わしもこれからこれから。」とある。そういえば、2016年3月、板橋cityマラソンで久しぶりに約5時間かけてフルを走ったとき、先行する「83歳です。」とのタスキをかけた男性ランナーを最後まで抜けなかったことがあった。鼻たれ小僧の私には無限の可能性があるようだ。

自由法曹団滋賀支部 8月集会

弁護士 和合佐登恵

8月29日、自由法曹団滋賀支部にて8月集会が開催されました。

滋賀支部では、弁護士だけでなく、各事務所の事務局も参加し、とても華やかな集会になりました。

講演には、遠方大分から岡村正淳先生にお越しいただき臼杵市風成漁業権裁判の講演をしていただきました。

各弁護士の活動に触れることができ、勉強になる一日でした。