カラオケの楽しみ

私の趣味のひとつはカラオケである。思い切り大きな声で歌い、ストレスを解消するのは精神衛生上も健康にもよい。歌う曲は、かつてはフォークとアニメであったが、その後懐メロ、そして演歌が主流になった。

演歌は4年ほど前からある店の先代のママに指導を受けてものにした。彼女に毎回課題曲を与えられ、点数を勝負して覚えていき、進化を重ね、歌が上手な彼女とほぼ互角にわたりあえるレベルになった。その関係で点数にこだわり続けている。幸い、行きつけの店のカラオケの機械に愛されているのか私だけが相性がいい。そのカラオケでは98点が最高点であるが、私は一晩で5曲98点を出すことも可能である。

点数にこだわるのは、大学の受験戦争の名残かもしれない。しかし、低い点数しか出なかった歌が高得点で歌えるようになるのは喜び・楽しみになる。

奥まった場所にその店はあるが、私の声は近くの公園にまで声が響くらしい。司法修習生のとき、大先輩の弁護士が「声が大きいだけで弁護団に役に立つ奴もいる。」との話を聞いて、そこに生きる道を見出したことを思い出す。

ある女性に「先生は音程が正確でうまいかもしれないが、歌に艶がない。」と指摘された。図星であるだけに辛いものがある。ママによれば、「演歌を歌ってもさわやかすぎる。」という。倍賞千恵子の本を読んでいたら、彼女は「歌に色気がない。」と批判され、悩んだという。彼女と同じ悩みをもっていることに感動した。

店では、「先生というが、音楽の先生か。先生をやめて歌手をめざしたらどうか。」と酔客に言われ、その冗談に喜んでいる自分がいる。

これまで滋賀県内で笠木透さんのコンサート(死亡後は追悼コンサート)を企画してきた。笠木さんは「歌がなくては人間らしく生きてはいけない」と言っているが、同感である。

街頭で訴えるにも、講演をするにも通る声は力になる。カラオケで気分転換をしながら、さらに鍛えることにしよう。

 弁護士 玉木昌美